2012年10月21日日曜日

偵察ヘリ OH-1 ニンジャに興奮



航空ショーで初めて軍用ヘリコプタをみました。兵器を称賛することは少し後ろめたいのですが、とにかく恰好良いのだ。最初に見たのは側面から。迷彩色が施された流線型フォルムは狼のようであり、禍々しさを感じます。正面からみると薄!。最初は一人乗りかと思いました。両翼にミサイルらしきものを二基づつ装備しており、自衛隊も攻撃ヘリを装備しているのだと、なんか感動してしまった。

この軍用ヘリの正式型番は、OH-1。川崎重工業製の偵察・軽攻撃ヘリコプタで、陸上自衛隊に34機配備されています。もっと配備する予定だったそうですが、値段が高くて(20億円ぐらい)計画は250機だったのに、途中で中止になったそうです。任務は敵陣へ侵入しての調査。発見された場合には敵を攻撃し隙をみて逃走するために偵察ヘリであるにもかかわらず、重火器を装備することが出来ます。ついた愛称が、”ニンジャ”。なるほどって感じです。
最初、一人乗りだと勘違いしたが、直列座席(タンデム)の二人乗りで、前の人が操縦、後部座席が偵察活動を行います。各種電子観測装備は機体の上部にあり、木陰に隠れ上からのぞき見る感じで観測するそうです。装備出来る武器は、空対空短距離ミサイル4基。敵ヘリコプタなどに発見追跡された場合を想定しています。手裏剣ですな。
隠密行動のための低空飛行を可能にする高機動性、静音性能、調査能力、発見された場合の生存率を上げるための薄型フォルムや反撃武器が凝縮された日本製の軍用ヘリコプタ、これが ”OH-1 ニンジャ” なのだ。

(細かい事は、ぜひ Wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/OH-1 を見て欲しい。)

このOH-1は、日本の防衛システム上、どのような位置づけなのでしょうか。湾岸戦争で知った近代戦争のプロセスは、まず制空権を確保する行動からスタートする。トマホークなどによる相手の対空防衛システムの破壊、攻撃機による空対空戦、そして制空権を確保すると爆撃機による地上設備の破壊が始まる。そして陸上部隊が上陸を開始。
しかし、この作戦はその後のプロセスが問題になっている。制圧プロセスが未だクリーンではないのだ。古くて新しい問題、市街戦やテロ活動に対して、圧倒的な対策行動が未だ確立されていない。モビルスーツ、各種電子機器などを駆使したSFや漫画みたいな戦術は結構真剣に議論されているに違いない。

話がそれました。改めて「OH-1は日本の防衛システムの中でどのような役割を果たす予定なのだろうか」考えてみた。日本の仮想敵国の上陸部隊殲滅を図るための部隊戦力偵察が予定されている任務なのだろう。ある程度、上陸されることは前提なのか。アメリカ空軍の御陰で制空権は完全に敵国に掌握されないものの、海軍の展開は間に合わないため、仮想敵国の大量、広範囲の上陸行動を許すことになる。この場合、日本の陸上部隊は攻撃を受けずに陸上部隊を迎えることが出来る。陸上部隊の展開力・機動力、そして敵部隊武装の調査把握能力が重要だ。

  1. 遅れて展開されるアメリカ海軍による敵国ロジスティクスの破壊、
  2. (制空権は確保されているので)哨戒機による索敵、
  3. OH-1による敵部隊の把握と攻撃プランの策定、
  4. オスプレイによる陸上部隊のダイナミックな配置行動、

これが日本の防衛システムのプロセスではないだろうかと想像しています。

いや、決して戦争を賛美しているわけではないのですが、OH-1をみて少し興奮してしまったようです。戦争はないのが一番、備えあれば憂いなしですが、それとは別の次元で、そもそも戦争・紛争・暴動など起きないように活動してほしいものです。戦争はゲームだけでたくさん。

そう言えば、最近戦争ゲームは市街戦テーマのモノが多い気がします。それも現在の軍事課題が反映している結果なのでしょう。まさか、戦争ゲームでシミュレーションしたりしていないですよね。まさかね :-p

2012年10月8日月曜日

2050年の世界


人口ピラミッドシミュレータを見つけました。

http://populationpyramid.net/

国や地域を指定し、年度を選ぶと人口ピラミッドと1950-2100年の人口推移を表示してくれます。
以下の駄文は読まなくても良いので、ぜひシミュレータで遊んでみてほしい。とても興味深いから。


上図は、2050年の中国の人口ピラミッドをシミュレートしたものです。
2015年頃をピークに人口は静かに減少しはじめ、2050年は、13億。この時、世界の人口は93億なので中国人は14%、七人に一人は中国人。驚くべきは、年代別構成比。半分は50歳以上だ。日本や韓国(republic of korea)も同様に壮年と老人の国になっている。明らかに社会保障とか破綻しているでしょうね。

人口ピラミッド・シミュレータを頼りに、2050年の世界を想像してみた。2050年に特に意味はありません。ちょうど数字として切りが良かったからかな。なんとなく政策をこれから切り替えて反映できるかもしれないぎりぎりの線だという気がしただけです。

2050年の世界

世界の人口は、増え続け93億になっている。50億はアジアの人達、まさにアジアの世紀。13億の中国はピークを過ぎ、人口の中心は24億を占める南アジア。インド17億、インドネシア3億は40代を中心に、経済は成熟期を迎えている。世界を見渡すと、人口5億の南アメリカ諸国もピークだ。南アジア、南アメリカが世界の工場と呼ばれている。
中国・タイ・日本・韓国は老化が進んでいる。中国は一部富裕層の海外移民も起きている。旺盛な消費を支えるため、地下資源の輸出が頼りであり、資源確保のため周辺地区への圧力も厳しく、軍拡は止まらない。
意外な事だが、4億の民アメリカの人口構成は大きく崩れておらず、静かに人口の増加を続けている。移民と文化と経済の実験場として、自らに刺激を与え続け、変貌させ続ける若々しさが、アメリカにはあるようだ。
7億のヨーロッパは人口構成こそ一時期の異常さを脱したものの、人口は横ばいを続けている。金融センターとしての地位は、まだこの地に存在するのだろうか。
アフリカ22億の人口は、まだ急激に伸びている。世界の労働力を支えるのは、この地域だ。世界の各地へ若々しい労働力を派遣している。

日本は、かなりハイブリットな状況だ。2010年頃より、恐る恐る続けてきた海外労働者受け入れ施策やバブル当時からの民間努力もあり、ずいぶんと外国人が国内に目立つようになった。まだ労働ビザでの入国が多いが最近は国籍を取得する人達も多くなっている。アメリカ好きの日本は、少しづつアメリカ移民政策を自分流に取り入れてきているようだが、人口構成の劣化の修正には、まだまだ遠い。
世界は主役を交代させながら、グローバル化による摩擦を生み出しながら、2100年の100億に向かって人口を増やし続けている。

随分と想像を逞しくしてみたつもりだけど、やっぱりピンと来ませんね。しかし、人口推定は戦争や大規模な疫病がないかぎり、必ず当たる予測で、様々なマーケティング、経済予測、社会学の基礎になっています。全ての政策の背景が人口推定にあるといても、過言ではない。これからも、何度も何度も見る機会がある、いや使う必要がある重要なシミュレータですよ。