2012年5月20日日曜日

思い出の筑紫耶馬渓(ちくしやばけい)

B筑紫耶馬渓
小学生の頃だった。夏、父が休みの時には耶馬渓(やばけい)まで車で連れていってもらった。たまに当時の友達も一緒だったと思う。車を道路脇に駐車して、川に降りていくと、たくさんの大きな岩の間を川が流れており、時には深い溜まりとなり、小さな滝を形成し、それほど深くもなく、流されていくこともないので、絶好の遊び場だった。ちょっとした探検、冒険の気分。何度も何度もせがんで連れていってもらった。

最近「鬼の日本史」(沢史生著)を読んでいて「やばけい」と言う言葉にひっかり、調べてみると、耶馬渓は大分県にある。青ノ洞門とかで有名な耶馬渓だが、なんか記憶と違う。だいたい当時住んでいた福岡市内から、車で数時間で行けるわけもなく、何だか変だと、さらに調べてみた。
私が小さい頃、通った思い出の耶馬渓は、筑紫耶馬渓(ちくしやばけい)。那珂川の上流にある小さな渓谷だった。那珂川は、福岡市の中央を博多湾に流れていく川で、歓楽街で有名な中洲を形成していることで有名だが、なんだ、私は那珂川の上流で遊んでいたわけだ。

筑紫耶馬渓の観光案内記事
那珂川上流、南畑発電所から南畑ダム下までの一帯。「脊振雷山県立自然公園」に指定され、別名「釣垂峡」とも呼ばれる。規模はあまり大きくないが、滝や巨石・奇岩などが多く、渓谷美が楽しめる。
http://www.innovade.co.jp/en/seasons/11/momiji/chikusiyabakei.html

那珂川上流に位置し、「釣垂峡」といっていたが、大分県の耶馬溪と対比して「筑紫耶馬溪」と呼ばれるようになった。ヤマメ、ニジマス、ハヤがすみ、シーズンには釣り人も。夏は涼を求め川遊びやキャンプ、秋はカエデ、ハゼなどの紅葉を楽しむことができ自然に親しむのに絶好の行楽地である。
http://www.crossroadfukuoka.jp/event/?mode=detail&isSpot=1&id=4000000000328

それにしても、小さい頃の記憶は、スケール感が実際と大きく異なっていて面白い。YouTubeには、筑紫耶馬渓へのドライブ動画などがアップされており楽しんだが、やはり「あれ?」って感じ。

「日本三大がっかり名所」というのがあるそうだ。観光名所なんだけど、実際に行ってみると、えー!!これだけ?って感じで、想像と全く違っているとがっかりする名所で、
  1. 高知の播磨屋橋
  2. 札幌の時計台
  3. 長崎のオランダ坂
だそうです。私は、いずれにも行ったことがありません。がっかりしないように期待を減らしておきますので、いつか行って見たいものです。

2012年5月6日日曜日

雨の美術館 ロベール、ピラネージ、ハンマースホイ、ビシェール

国立西洋美術館に来ました。ゴールデンウィークも真ん中、混んでるかなと心配したが企画展がユベール・ロベール展と一般受けしないやつで、賑やかさも程よい感じ。雨の中、館内にはいります。先ずはユベールから。


「廃墟のロベール」と異名を持つフランス風景画家の展示品の多くをサンギーヌと呼ばれるチョーク画が占めています。エモーショナルな感動は受けませんが、ジブリのラピュタ世界を感じます。彼が描くのは長く滞在したローマ。当時のローマは古代、中世、ルネサンスのそれぞれの遺跡が発掘され、剥き出しになり、村や街の彼処に顔をみせていました。日常の中に異次元の、異世界のモノがさりげなく混じっていたらしい。そのチョット不思議観が面白い。副タイトルの「時間の庭」はそう言う意味でしょう。ロベールは「国王の庭園デザイナー」だそうです。デザインのために実際には存在しなかった風景も描いています。

さて、常設展示へ。いつも、これが楽しみ。ピラネージ 「牢獄」展を開催されていました。


ピラネージ (1720 - 1778 )はイタリアの画家であり建築家と自称していましたが、実際に建築されたものはないそうだ。エッチングで描かれた版画作品集でテーマはローマの牢獄。一版と自身が編集し直した二版の中からの展示。二版の方がダークで力強くて牢獄してます。何処かで見たような気もするのですが、映画か小説の挿絵だったのかもしれません。ゲームかな。牢獄には跳ね橋や拷問器具など様々なギミックがあり、入り組んでいてダンジョンの様です。

常設展示の2階の奥に、今日もハンマースホイの作品「ピアノを弾くイーダのいる室内」がひっそりと掛かっていました。


国立西洋美術館が所蔵するハンマースホイ作品はコレだけで数年前に購入したらしいです。この人、寂しい室内を描いてばかりいるひとで、人物も奥さんイーダの後姿ばかり。家具も少なく、全体のモノトーンな色調も相まって生活感が全くありません。この寂寥感はとても心惹かれます。デンマークの作家で生前は売れっ子だったそうです。生きている人が描いてこその寂寥だったのでしょうか。最近の常設展示のマイブームです。

常設展示の出口近くがモダンアート。いつもはミロやエルンストで締めるのですが、気になる作品を見つけてしまいました。


ロジェ・ビシェール 「花を持つ貴婦人」。観てて、すごく不安な気持ちになってきます。最初、その理由が判らなかったのですが。顔の左右が違うのですよ。非対称とか、そう言うものではなく異なる人の顔をさり気なく、くっつけた感じ。これは何なんでしょう。いっそ、他の抽象画の様にハッキリ描き分ければ良いのに、微妙なので、ジワジワと背筋が寒くなってしまいます。また観に来なければなりません。

外は雨が降り続いています。売店でハンマースホイの絵葉書も買ったし、暗く静かな気持ちになりましたし、さあ帰るとしましょう。