2012年5月6日日曜日

雨の美術館 ロベール、ピラネージ、ハンマースホイ、ビシェール

国立西洋美術館に来ました。ゴールデンウィークも真ん中、混んでるかなと心配したが企画展がユベール・ロベール展と一般受けしないやつで、賑やかさも程よい感じ。雨の中、館内にはいります。先ずはユベールから。


「廃墟のロベール」と異名を持つフランス風景画家の展示品の多くをサンギーヌと呼ばれるチョーク画が占めています。エモーショナルな感動は受けませんが、ジブリのラピュタ世界を感じます。彼が描くのは長く滞在したローマ。当時のローマは古代、中世、ルネサンスのそれぞれの遺跡が発掘され、剥き出しになり、村や街の彼処に顔をみせていました。日常の中に異次元の、異世界のモノがさりげなく混じっていたらしい。そのチョット不思議観が面白い。副タイトルの「時間の庭」はそう言う意味でしょう。ロベールは「国王の庭園デザイナー」だそうです。デザインのために実際には存在しなかった風景も描いています。

さて、常設展示へ。いつも、これが楽しみ。ピラネージ 「牢獄」展を開催されていました。


ピラネージ (1720 - 1778 )はイタリアの画家であり建築家と自称していましたが、実際に建築されたものはないそうだ。エッチングで描かれた版画作品集でテーマはローマの牢獄。一版と自身が編集し直した二版の中からの展示。二版の方がダークで力強くて牢獄してます。何処かで見たような気もするのですが、映画か小説の挿絵だったのかもしれません。ゲームかな。牢獄には跳ね橋や拷問器具など様々なギミックがあり、入り組んでいてダンジョンの様です。

常設展示の2階の奥に、今日もハンマースホイの作品「ピアノを弾くイーダのいる室内」がひっそりと掛かっていました。


国立西洋美術館が所蔵するハンマースホイ作品はコレだけで数年前に購入したらしいです。この人、寂しい室内を描いてばかりいるひとで、人物も奥さんイーダの後姿ばかり。家具も少なく、全体のモノトーンな色調も相まって生活感が全くありません。この寂寥感はとても心惹かれます。デンマークの作家で生前は売れっ子だったそうです。生きている人が描いてこその寂寥だったのでしょうか。最近の常設展示のマイブームです。

常設展示の出口近くがモダンアート。いつもはミロやエルンストで締めるのですが、気になる作品を見つけてしまいました。


ロジェ・ビシェール 「花を持つ貴婦人」。観てて、すごく不安な気持ちになってきます。最初、その理由が判らなかったのですが。顔の左右が違うのですよ。非対称とか、そう言うものではなく異なる人の顔をさり気なく、くっつけた感じ。これは何なんでしょう。いっそ、他の抽象画の様にハッキリ描き分ければ良いのに、微妙なので、ジワジワと背筋が寒くなってしまいます。また観に来なければなりません。

外は雨が降り続いています。売店でハンマースホイの絵葉書も買ったし、暗く静かな気持ちになりましたし、さあ帰るとしましょう。