2012年9月16日日曜日

あくまき


「あくまき」は宮崎県のソウルフードです。

南国物産展を見物していると「あくまき」をみつけました。¥420円(+ 専用のきなこ100円)。早速購入です。

「あくまき」は、竹の皮に包まれたアメ色の羊羹への成りかけみたいなモチみたいな食べ物です。食べやすい大きさに糸で切り、きなこをタップリとかけていただきます。その味は、思いの外甘く、触感もしっかりしており、エグさやクセはありません。その製法は、灰汁(アク)を十分に吸い込んだモチ米を竹の皮に包み、お湯にいれ煮込むのだそうです。

小学生の頃、福岡に住んでいたのですが、夏休みのたびに母方の両親が住む宮崎県飫肥に遊びにいきました。必ず、食べたのが「あくまき」です。あく(灰汁)で巻くから、あくまきなのだろうと思います。それは特別な食べ物でした。時々お客様が持ってきてくれるケーキみたいな幸運で、高価で、高貴なものと子供心に感じていました。でも、じいちゃんの家だけではなく、他の親戚の家にもありました。もしかすると、あの頃は未だ自家製だったのではなかったかと想像しています。正月になると各家が餅を突くように、宮崎ではあくまきを各家で作っていたのではないでしょうか。

いつの頃からか、あくまきを食べることはなくなりました。嫌いになったのか、出されることがなくなったのか、幼い頃の記憶では、ばあちゃんに「あくまきはないのか」と尋ねた思い出が残っています。返事がなんだったのか、覚えていません。

そして今日、久しぶりにあくまきを食べる機会を得ました。食べることが出来たことが大変うれしいです。もっと美味しいものはたくさん世の中にありますが、思い出が詰まっている食べ物は、そう多くはありません。もう絶滅してしまったかな、と思っていた「あくまき」を、また食べることが出来て幸せです。