2011年11月13日日曜日

がっかり。わくわく。東京国立近代美術館


とあるブログで、スイスの建築家 VALERIO OLGIATI (ヴォレリオ・オルジャティ)展が目にとまったので、東京国立近代美術館にいってみた。入場料は常設展込みで450円。安いのが気になり、いやな予感が漂います。入場してみるとヴォレリオの展示場は二階の一室のみ。白い模型が九点と図版だけの展示。解説も素人が読むにはつらい、専門的な内容だし、模型はきれいだけどリアリティはなく、つまらん。失礼ながら、大した内容ではないのに写真も禁止。建築は構築されてしまえば晒しものにされるので、写真禁止はあまり意味がないように思えるのだけどね。
がっかりして、所蔵品ギャラリに向います。これは面白かった。テーマは「近代日本の美術」、その他に、「ぬぐ絵画 日本のヌード」開催されていました。
二階 現代美術(970年代以降)、三階 昭和戦前・戦後、四階 明治大正 と展示されていたのですが、成り行きによって、二階から四階への時代をさかのぼっていくことに。

現代美術の展示から
ダンサー
やっぱり、へんちくりんな現代美術品が刺激的です。鷲見和紀郎(すみ わきろう)の作品「ダンサー」。踊り子がくるくると回る様子とスカートや手が回転を追いかけていくダイナミックな動きを静止した造形物で表現したのでしょうか。ダンサーは、2つのバリエーションがありましたが、こちらの方が素敵です。

このあたりでは、写真も展示されています。現代美術は、表現手段や素材が様々に模索し試されてきた時代でもあり、そのなかでも写真は、アートの分野で大きな地位を占めてきたのでしょう。「脱ぐ絵画」企画展でも、写真が多く展示され、そこでは海外の写真家の作品もあったのですが、やはり芸術性では海外の方のほうが秀でているようです。最近はそんなこともないのでしょうが。

昭和 戦時と戦後の展示から
間所紗織 「女」
間所紗織の「女」。まだ女性の進出には厳しい時代だったのでしょう。海外へ飛び出し、または抽象画に活躍の場を求める女性がいらしたようです。この作品は、神話時代の踊り子を表現したのでしょうか?縄文時代ような服装、狂気を秘めた赤、画面いっぱいを占め、飛び出してくるような勢いを感じます。

松本竣介の「建物」、建畠覚造の「貌(かお)」など、興味深い作品も数多く並ぶ、私的には一番充実していたフロアでしょうか。掲載出来なかった写真は、あとでFacebookあたりにアップしておくことにしましょう。日本の... と言いながら、パウル・クレイの「山への衝動」など外国人作品が混じっているのはご愛嬌かな。

棟方志功の黒い薔薇の裸婦。屏風絵なのに、モダンで、エロティックで、なのに圧倒的に高い芸術性が発散されています。脱帽ですね。いや、それにしてもエロい。なまじ最近の劇画でも、このようなエロティズムはだせませんよ。でも、なぜか欲情しないのは芸術だからでしょう。

棟方志功 黒い薔薇の裸婦
明治、大正の展示 など
最後のフロアは、写真をとりませんでした。展示内容は、もう昔の美術の教科書に載っていたり、切手になったりしている超有名作品の目白押し。東京国立近代美術館を訪れるたびに観ているものばかり。何度みても、楽しいですね。

パンフを見ていると、月に何度か、キューレターの方や作者、ボランティアの方によるガイドツアーやトークがスケジュールされていました。金曜日の夜18:00からとか、すこし会社を早引きして参加してみようかしら。知識が増えたほうが、美術鑑賞はもっと面白くなるような気がします。