2011年11月26日土曜日

広大なるマーケットと[市場の死]

ゲームソフト大手、エレクトロニック・アーツの最高クリエイティブ・ディレクター、リチャード・ヒルマン氏は「今ここで競っているのは、お金ではなくてユーザーの時間。したがって、ユーザーがいるところ、ユーザーが持っているデバイスすべてに当社がいなくてはならない」と述べた。
市場の定義とか大きさの測定は、これまで金額で語られることが多かった。ヒルマン氏の話はとても興味深い。市場の大きさは、ユーザーのゲームにかける時間だと言う。お財布ではないのだ。なるほど。
iTunes, iPodが発売された時に気づいた。音楽市場の大きさは、これからはハードディスクの大きさで語られることになるだろうと。今まで音楽メディアは保管するスペースが必要だった。家の大きさ、個人のスペースの大きさが保管量を決めていたかもしれない。しかし、これからはディスクの大きさが購入量を決定する。そして、クラウド時代がきた。音楽の保管スペースは無尽蔵になった。経済の需要と供給の法則を変形して解釈するならば、需要は無尽蔵になったので、供給側だけが市場の動向を決めることになるのだ。わはは(笑)。恐ろしい世界。これは音楽が死蔵される世界。この世界は、やがて書籍にも波及する。永遠に聴かれず、読まれず、保管される墓場のような世界が、もうすぐ生まれる。