2012年7月8日日曜日

音楽無制限! がんばれソニー


ソニーの定額制音楽配信サービス Music Unlimited が国内で始まった。既に海外ではやっているし、今年4月開始の噂もあったので、やっと始まったかと言う感じです。でも個人的には結構うきうき、そわそわ。

AV Watch 記事

月額1500円と廉価版CD程度の値段で1000万曲を聞き放題。同じ曲ばかり聞くヘビーローテーションな人にとって、毎月課金は割高。新しい曲を追っかける人にとって割安。このサービスは、日本で受け入れられるでしょうか。低迷し続ける音楽販売は、これを期に再び活性化するでしょうか。ポイントは、3つあると思います。


  1. 年間1枚もCDを買わない人達が大多数。この人達を動かすことができるか?
  2. ネットオーディオ環境は普及しているか?
  3. 音質は十分か?


とある調査では、年間の音楽CD購入枚数は平均1枚以下だそうです。多くの人達は音楽に何を期待しているのでしょうか?握手券やコレクション目的のヘビーユーザは兎も角、一般的な人達は音楽にコンサバなイメージを持ち、安心して聞けるお気に入りを持っていれば十分だと感じているかと思います。このような人達にとってMusicUnlimitedは、良いサービスじゃないでしょうか?昔良く聞いた曲や流しっぱなしにしても疲れない曲をタップリ聞き流し出来るのですから。若い人達にも昔の曲は新鮮ですし。MusicUnlimitedのようなサービスは、カバー曲を増やすことになると思います。

再生出来るのは、ソニーのゲーム機 Vita、PS3やスマートフォン、PC、Mac などです。近くiPhoneにも対応するようです。
スマートフォンやiPhoneでの再生ですが、日本ではまだストリーミング放送は厳しく、オフライン機能を利用することになるでしょう。これは同じ曲をずっと聞くことになりがちで、割高。PCやMacがリビングに進出している家庭はまだ、十分には多くないと思います。また、スピーカやアンプをしっかりと用意しているPC,Macも多くはないでしょう。スイッチ一つで聞ける環境が用意しにくいと言う点で、厳しいと思います。ただし、Radikoの例がありますので、意外と受け入れられるかも知れません。

48kbps + AACの音質だそうです。これがどれくらいなのかと言うと、iTunesの購入は 128kbs + AAC で、Appleいわく「ほぼCD音質相当」だと言うことです。乱暴な言い方をすれば、三分の一の音質。貧弱だと思われるネットオーディオ環境と合わせると随分と哀しい感じです。しかし、携帯ダウンロードとか、今までもこんな状況だったので、一部のマニアを除けばあまり問題にならないでしょう。

分析してみると、なんか割といい感じです。普及してもおかしくない気がしてきました。
しかし、致命的な問題が2つあります。マーケティングです。

このサービスは、PSN (Playstation Network)のサービスの一つです。企業再生のため、ゲームビジネスに大きく注力するソニーにとって、Music Unlimitedは他社との差別化のための手段なのです。けっして、X-BOXやWiiに普及することはありません。ターゲット層は、普通の人ではなくゲーマなのです。自社の音楽ビジネスをつぶしかねないMusicUnlimitedも、ターゲット限定ならば問題ないと考えているのかもしれません。普通の人が、MusicUnlimitedを知ることも、PSNのアカウントを取って参加することも、割と敷居が高いことでしょう。

もう一つの問題は、日本の楽曲です。まだ邦楽は数万曲程度だそうです。これから交渉していくそうですが、それは発表までに交渉を完了出来なかったことを意味します。まあ、いつもの問題ですが、これは意外と壁が大きい。目的がソニーのゲームビジネスの活性化なので、各レーベルはメリットを感じにくいのです。やっとダウンロード販売を受け入れた日本の業界にとって、定額制無制限供給は、まだまだ未知な点が大きいビジネスでしょう。

それでは、今後どのような展開になっていくのでしょうか?

日本でのMusicUnlimitedが発表されたことで、同様のサービスを海外で展開している企業、これから定額制を実施しようと検討しているに違いない企業が相次いでサービス開始を発表するでしょう。具体的には、海外では有名な欧州系定額制音楽配信サービス spotify 、そして Apple 、 Google 、Amazonが今後半年から1年の間にサービスインするのではないかと予測します。恐らく、Music Unlimitedよりも敷居が低いのではないでしょうか? また、Appleは音質については妥協しないと期待しています。いずれも邦楽については、どっこいどっこいでしょうから、その点は差別化の要因にはならないでしょう。結局、MusicUnlimitedが国内で普及にもたついている間に、黒船襲来で、その市場を取ってしまうと予想します。

日本の音楽業界は、いずれの波にのることも出来ないのでしょうね。座して死す感じ。

ところで、私は?
結構、悩んでいるんですね。PSNのアカウントは持っているので、すぐ参加出来ますし。参加したら、

  • 一日かけて、マイルス・デービスやソニー・ロリンズを初期から最新まで聞き続けてみたい。xxxx 三昧。
  • 最新発表のJazzばかり聞いて、今度買うCDを決めたい
  • 民族音楽とか、日頃あまり聞かないものをタップリ聞きたい

などなど、欲望は膨らむばかり。

Appleが発表してくれるまでの間だけでも、Music Unlimitedにはいっちゃおうかなあ!