2011年4月20日水曜日

ニューヨークの窓

割れ窓理論は、小さな罪を放置しておくとやがて蔓延し大きな犯罪の多発、生活環境の悪化につながると言う仮説だ。この理論に基づきニューヨークで行われた、小さな犯罪の徹底的な取り締まりは成功し評判となった。日本でも秋葉原や新宿の例がある。まあ何事も徹底しなかったのは日本らしく微笑ましいのだが。私は、この理論を勘違いしていた。秩序のある状況、整備された環境を人は壊したくないと言う心理が働くため維持されやすい、しかし一度小さなヒビが入ると急激に悪くなってしまうという、システム論だと人に偉そうに話していた。はずかしいなあ。
ところで、なぜ割れ窓理論を思い出したかというと「華胥の幽夢(かしょのゆめ) 小野不由美著」を読んだから。その中の一遍「乗月(じょうげつ)」は小さな罪に死罪を言い渡し、多くの民を死刑にする潔癖症の王の話。そうか、この王は割れ窓理論の実践をしたのだなと気づいた次第。
システム工学で社会システムはフィードバックループが複雑に入り乱れた、ふわふわとしたものだと教わった。割れ窓理論も乗月の王も硬すぎる。もっとゆるゆる、ゆったりと行きたいものだ。そんなに簡単に壊れたりしないから。