2011年5月16日月曜日

東京国立博物館 常設展 能面

能面は男、女、神霊、鬼神、翁の五系統に分類されるそうです。



写真の上の面が男面「中将」。藤原業平を描いた面で、怨念を抱えた壮年男性を演じるらしい。下の面は「十六」で若くして討ち死にした平敦盛がモデル。薄幸の少年を演じます。能面は演じる人の姿勢や舞台の光の当て方で、その表情を変えると言います。展示室で様々な角度で写真を撮っている人がいました。その変化を試してみたかったのでしょう。展示されていた能面は他に七面あり、次の写真の右上から左下の順に、平太、邯鄲男、頼政、景清です。


さらに、痩せ男(左上)、大悪尉(左下)、三光尉(右)。


いずれも顔を剥ぎ取ったかのように表面が生々しく、しかし表情は絞り込まれたテーマと普遍性を兼ね備えています。ペルソナですね。とても美しいのに、どこか恐ろしいのは顔だけで胴体がないからでしょうか。もっと抽象化された海外の仮面のほうが怪物じみているのに怖くないです。人が一番恐ろしいということかな。
能面は舞台で使われる以上に美術品として所有する人も多く、販売を目的とした能面師も結構いるようです。それは良いことだと思います。ビジネスとして成り立たないと芸術品も廃れてしまいますからねえ。