2011年6月12日日曜日

Appleが魅せる未来


WWDCが終わり、Appleの次の階段が示されました。次の一年にAppleはどう進むのか? Appleの製品を持っている人達にどの様な可能性が提供されるのか? とてもスッキリしました。

PC Free

かなりの人がPCと同期せずに使っているそうです。電話なので当たり前なのでしょう。"PC Free"は単なるiPhoneのスタンドアローン化ではないことが重要です。他のスマートフォーンは、あらゆる機能を小さなボディに詰め込んで、操作が複雑で多機能すぎて、使いにくい小さなPCになってしまいました。しかし、iOSは小さなボディから出発し、モバイルは如何にあるべきかを考え、すこしづつ積み重ねてきました。決して無理をせずに。その一つの形として今回、iCloudと3G/WiFiネットワークを背景に実現した"PC Free"です。真の"Agent"が実現したのだと期待しています。

Mac OSX から OSX へ

過去、Appleはビジネスモデルが大きく変わったときに名前をさりげなく変えてきました。Apple Computer -> Apple, iTunes Music Store -> iTunes Store, iPhone OS -> iOS。そして、今回デスクトップOSの名称が Mac OSX から OSX と変更されています。何が変わったのでしょうか? OSXは、もしかすると他社へライセンス供与されるかも知れませんし、大きな画面を必要とするデバイスへ組み込まれていくことになるかもしれません。OSXの提供が原則パッケージ販売はなくAppStore経由となったこと、そしてその価格が衝撃の2600円であることは、その背景に大きな意味があると想像しています。

新世代のUI

OSX Lionのプレゼンテーションで、"Full Screen Application"、"Mission Control"などが報告されていました。Mr. Jobsは、「私はここ数年ファイルシステムについて考えてきた」と話ました。これまでのユーザ・インターフェースは、ファインダ(Windowsの場合はExplore)、メニューバー、マウスに支えられてきました。しかし、デジタルチルドレンならば兎も角、普通の人にはマウスさえも複雑になりすぎたのではないでしょうか。OSX Lionが推奨するアプリは全画面で表示され、アプリの切り替えやスクロールなどはタッチ操作です。保存ファイルは、恐らくOSのどこに保存されているか隠匿されている状態になるでしょう。デスクトップにファイルを並べて置いているひとは、さようならですね。スクロールバーとかメニューバーとかも無くなりますし、マウスも不要です。先日Windows8も発表され同様のトレンドを示していました。いよいよ新世代のUI(ユーザインターフェース)に向かって全てが動き出したようです。

音楽ビジネス

音楽販売は長らく違法コピーとの戦いでした。デジタル・コンテンツの販売が遅れ気味なことも、違法コピー問題が主な理由ですね。AmazonやGoogleがいち早く始めた音楽ロッカーサービスも結局その背景に違法コピーファイルを暗に認め推薦している”におい”がします。違法コピーはユーザにとっても危険なことだと危惧していました。音楽ビジネスが儲からないものとなり、ヒット曲中心となり、似たような曲ばかりがはびこり、一般受けしないものはインディーズとして益々発見しにくいものになるのではと恐れていました。しかしiTunes Storeのおかげで、ロングテールな音楽を簡単に見つけ、試聴し、1曲から購入できるようになったことは、とても素晴らしいことです。話はそれますが、iTunes Storeに参加していないSonyのMoraですが、とにかく使いにくいし、探しにくい。せっかく持っている大量の作品群を売りたくないんだなとがっかりしてしまいます。
さて、今回Appleが発表したiCloudは、平たく言えば「聴く権利」の販売でしょう。音楽ファイルは個別にコピーしてもつのではなく、複数の聴く権利を購入した人が同じオリジナルのファイルを楽しむのです。おかげで、Appleが保管する最上の品質のファイルを利用することが出来ますし、別途に保管しHDを圧迫する必要もありません。これは音楽を販売する側にとってもフェアだと賛同されているでしょう。Appleのみと契約する音楽供給者が多く出現しても不思議ではないでしょう。音楽ビジネスは、また大きく変わるかも知れません。良い方向に。